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放射能から「食」を守れ! 旭市産のサンチュ出荷事情

 福島第一原発事故以後、止まらぬ放射能の不安を抱えながら、「食」に関わる売り手と買い手の信頼を揺るがせかねない混乱が相次いでいる。(4月22日現在、千葉県旭市産のサンチュ、ホウレンソウ、チンゲンサイ、シュンギク、セロリ、パセリの出荷制限の解除がされている)

 

 4月13日にイオン(株)がイオンリテール(株)及びマックスバリュ関東(株)の合計57 店舗において千葉県旭市産のサンチュ(つつみな)を、千葉県より出荷自粛要請されていた期間中に販売したことを詫びた。

 

 千葉県が自主的に出荷自粛を要請されていた3月30 日から4月7日の期間に2200 パックの千葉県旭市産のサンチュがイオン各店舗で販売されていたことが判明したためだ。

 

 しかし、同社は「該当する商品を売場から撤去するとともに検査を依頼し、その結果、当該商品に含まれる放射性物質の量は国が食品衛生法に定めている暫定規制値を下回っている」ことを確認している。

 

 イオン(株)の説明通り、旭市自身は3月29日には、国の定める「食品の放射能測定マニュアル」に則り検査した結果、旭市産のサンチュが1700ベクレル/㎏と暫定基準値2000ベクレル/㎏を下回っていることを発表。千葉県は旭市やJAちばみどり営農センター旭に対し出荷自粛に留まった。自粛には法的な強制はないのでサンチュが流通する可能性があった。

 

 政府が旭市産のサンチュに対し原子力災害対策特別措置法に基づき出荷停止を指示したのは4月4日時点。出荷停止は法的な規制がもちろんある。検査から出荷停止の指示が出るまで10日もかかった。ちなみに福島産ホウレンソウの出荷制限は2日。
背景には、原子力災害対策特別措置法に基づき、首相が努める原子力災害対策本部長が各県の知事に県単位の制限を指示、暫定基準値を超えた出荷県というだけで放射能検査もされずに出荷停止の憂き目にあっている生産者からの不満があった。

 

 

ドキュメント「旭産サンチュ」

全面自粛で農家真っ青

 

 事の発端は、3月20日の午後、東京都福祉保健局に千葉県旭市産シュンギクが持ち込まれ、放射能検査をした時点から始まる。

 

 東京都が築地市場経由で都内に流通した同産シュンギクから、国が定めた暫定規制値 の2・15倍にあたる4300ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表。

 

 都は食品衛生法に基づき、旭市産シュンギクの回収・販売禁止とともに旭市産のキャベツやキュウリなどすべての青果物の出荷自粛を千葉県に要請する。

 

 

全面自粛で農家真っ青
国の線引きが生死を決めた

 

 慌てたのは、旭市と農協。これでは市内の農家がつぶれる、大変とばかりに、県より先に自主検査を21日に行っている。その数27品目、30検体。どれほど必死だったかがその数の多さでわかる。
東京都は千葉県の対応を見ながら、22日には、シュンギク以外の旭市産の青果物の出荷自粛を解除。

 

 千葉県は21日に14品目15検体の検査を行い、25日に旭市産サンチェなど5品目から暫定基準値を超える放射性要素が検出されたと公表し、旭市に対し5品目の出荷自粛を要請している。検査結果は原子力災害対策本部に報告し指示を仰いだ。

 

 30日に千葉県が2回目の検査公表を行う間に旭市と農協、県の千葉農業事務所の3団体はなんと合計3回も、自主検査を実施。自粛解除のために努力を続けた。

 

 25日に採取し自主検査をした結果、サンチュから暫定基準値を下回る1700ベクレル/㎏の数値が出たと公表。数値が暫定基準値の下なのだから出荷解除されるだろうと、29日にはJAちばみどり営農センター旭はサンチェ生産者に出荷ができそうと打診し始める。

 

 ほっとした生産者は地元出荷卸売会社グリーンファーム(株)に農協が出荷に動き出したことを伝言。ここでイオン各店舗へのサンチェ出荷の動きが始まる。

 

 千葉県が安定化するまで自粛を要請した「旭市産農産物の出荷自粛要請について」の通達が出たのは3月29日の深夜。

 

 この自粛通達が市と農協と卸業者と大手スーパーを振り回す。 

 

 慌てて農協は出荷を取りやめたが、民間卸業者は「あくまで自粛で出荷制限されていないのだから」として、そのまま大手スーパーに出荷してしまう。

 

 東京都の要請も千葉県の自粛指示も、食品衛生法以外の法的規定がない。

 

 食品衛生法は違反が見つかった農家の青果物や肉等の回収および廃棄に限られており、より広く措置の対象を広げる地域規制はできない。県全域の集荷制限や摂取制限が可能なのは、原子力災害対策特別措置法であり、県は国からの指示がなければ制限ができない状況だった。

 

 千葉県とすれば「国との正式の検査ルートは旭市の自主検査ではなく、同県の検査であり」、原子力災害対策特別措置法に基づく対策本部長の出荷制限かどうかの判断材料となっていると主張。
市や農協の懸命な検査努力が仇となったわけだ。満足に「検査をしていない産地が制限されないのは疑問」、しっかり検査をした所だけ出荷停止されたとして「正直者が馬鹿をみる」という不満が上がる中での対応だっただけに市のショックは大きい。

 

 だが、旭市に対し自粛を要請する前日にあたる3月28日、福島県を中心に1都7県(千葉県も含む)が国に対して「東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う緊急要望」書を提出している。
要望の内容は(1)放射性物質の暫定基準値の緩和(2)出荷および摂取制限地域について、都道府県単位ではなく一定の地域等の範囲にする(3)今後の制限解除についての基準の明確(4)風評被害対策の徹底等である。

 

 やはり千葉県も地域の生産者の憤りと混乱に対し危機感を抱いていた。

 

 

旭産ホウレンソウの悲劇
広がる独自検査措置

 

 自主検査は市だけではない。食品・飲食メーカーやモスフードサービスやゼンショーといった外食産業も、広がる消費者の不安を解消しようと自主検査を行っていた。

 

 消費者は身近に出回る青果物や肉、野菜の放射能検査について、検査方法や検査区域の範囲の情報について不安が残り、結果的に暫定基準値が上回ると、慌てて県全域を集荷停止にする措置に敏感に反応していた。

 

 検査に漏れて市場に出ている青果物があるのではという消費者の声に対して、大手スーパーや外食店が自衛策として自主検査をし出したわけだ。

 

 4月4日にようやく原子力災害対策本部から「検査計画、出荷制限等の品目、区域の設定・解除の考え方」が出る。

 

 出荷制限の区域を決める際に都道府県ではなく、市町村や県を複数のブロックに分割といった対象地域の細分化が明確化され、出荷制限対象となった農産物については1品目2検体に対し、毎週放射線量の検査を実施して3週連続で規制値を下回った場合は市町村などの単位で制限を解除できる等を示した。

 

 その上で、旭市を含む3市にサンチュ等6品目の出荷停止を千葉県に要請している。

 

 旭市において4月4日以降、自主検査は行っていないが、検査についての不満は根深い。 

 

 例えば、一度も検査さえされずに、旭産のホウレンソウは東京都の要請以降自粛が続いている。

 

 ホウレンソウの生産自体が検体として出せるほど量がなく、水耕栽培が多いため、旭市のホウレンソウは近隣の香取市や多古町の検査数値に準じることになっている。

 

 隣の市で了承がでなければ出荷ができないという矛盾を抱えている。

 

 17日においてイオン(株)は、サンチュの撤去とともに自主検査したことを発表している。

 

 消費者が求めていたことは、政府や行政で安全だとしたものしかスーパーやレストランに出ていないという確かな情報である。

 

 県が出荷自粛を要請していたという情報を知らずに買ってしまった消費者の不安と不振をぬぐうには、消費者に対する徹底的な情報公開が急務。開示されていないと憶測が生まれる。
食の安全は当たり前だった。お客さんの心の問題、安心に業界が心を砕くことが、強く求められている。

 

(轟晃爾)

 

 

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